医療統計の基礎~現場において重要性大~
いつも懇意にしている医大生の方が「医療統計」に興味あると書かれていたので、できたらそういう記事も書いてみようか…そして、自分の理解の助けになると考えて書いていきたいと思います。
では、以下が目次です。
・医療現場においてなぜ医療統計が必要なのか。
・医療統計が私たちに教えてくれること。
・医療統計の種類
という感じに書いていきたいと思います。
・医療現場においてなぜ医療統計が必要なのか。
これを考えたことがありますか?私は恥ずかしながら自分がこのように考えたことが今までなかったので今から思えば計算問題がたくさんあって大変だったという思いで以外ありません。そのため、再履修にかかったんです。
はい、話を戻します。この問いに答えるのは非常に難しいというのが多くの方の回答であると思います。それは、医療現場で医療統計を考えてられないから。
医師も看護士も毎日忙しく、そんなことを考えてられないでしょう。でも、この考えを駆使して薬物治療に貢献している医療者がいるんです。そう、薬剤師。
でも、なぜ薬剤師が「医療統計」を駆使する必要があるのか。これは、患者さんからの相談や医師の治療方針に対する提案や助言をするのに、この考え方がすごく大事だということです。
・医療統計が私たちに教えてくれること。
この問いも自分で作ったくせに、難しいと言わざるおえないです。なぜかと申しますと、医療統計そのものに意味はないから。その統計からみてどういう方針でこれから向かっていくべきかを知る武器でしかないからです。
薬物治療における患者さんからの相談で、以下の質問を受けた場合、どういう方針で考えていくべきでしょうか。
「胃潰瘍を患っているR氏。今回、長期服用していたNSAIDsが起因すると医師から言われ、やめないといけないと焦っている様子。しかし、持病の腰痛を考えると容易にNSAIDsをやめることができない様子。薬剤師に対して、自分が飲んできた薬剤で、胃潰瘍になる可能性はどれぐらいなのか教えてほしいとの依頼があったと、退院後に医師のT氏より連絡があった」
これに対してまず考えないといけないフレーズは、「自分が飲んできた薬剤で、胃潰瘍になる可能性はどれぐらいなのか教えてほしい」ということになります。
この場合、実際にNSAIDsの長期服用による胃潰瘍であるということは自明の事実であるという認識は医療関係者なら承知済みの事実。でも、それを患者さんに対して言えるわけではない。とすればどのように言えばいいのかですが…。
もし、私なら、「NSAIDsを服用した場合の胃潰瘍の発症率」と「NSAIDsの非服用の場合の胃潰瘍の発症率」の違いがわかる論文収集を行い、吟味した上で、メタアナリシス(論文収集後に精査する方法、簡単に言えば)を行い、危険性を見極めたうえで、NSAIDsの使用による胃潰瘍発症の可能性を患者さんに説明すると思います。
こういう方法で、安心して治療して頂くために危険性を統計的に見て知る意味は現場ではかなり大事です。リスクの回避が早いほど患者さんを危険にさらす可能性がかなり低くなるということも含めた適切な指導・医師への助言を行っていくことが大事だと言えます。
・医療統計の種類
医療統計において必要な知識はたくさんありますが、その中でも重要なものを厳選して記載していきたいと思います。
まず、正規分布しているかどうか(等しく分散しているか)を知るF検定。この検定を行うことで実際に等分散か非等分散かが一目瞭然でわかります。
医療統計学勉強会:推測統計の理解と推定の実践コース(コース3)|診療情報管理士通信教育第85期生@福岡のブログ
正規分布:真ん中で線を引いた時に、鏡の関係になるというもの。
非正規分布:鏡の関係にならずにうまく重なりあわない。
これを一発で知るのがF検定であると言えますね。
カプランマイヤー曲線
出典:臨床試験のエンドポイントを読む-複合エンドポイント解釈の難しさ
多くの抗がん剤や臨床試験でよく使われている曲線でみなさんお馴染みだと思います。が、今回のこの図は、ARBを使用した場合に生存率がどれだけ上昇しているのかをみることができます。
この図を見て一番に感じないといけないのは、薬の使用がどれだけ社会的貢献に寄与しているのかです。創薬関係に興味があった私ですが、薬の効果をきちんと認識している方が作るとは限らないということです。
効果だけを追い求めるのではなく、患者さんの病の治癒と社会復帰にどれだけ関与できるのかということも考えないといけないということです。
そう考えるとこの曲線は、私たちに大切なことを教えてくれているのかもしれませんね。
長々と書き連ねてしまいました。すべてのカギを握っているのは、薬物治療の専門家である薬剤師の意識です。私はまだ、学生で薬剤師ではないけど、来年必ず薬剤師になれるようにしていきたいと思います。
では。