薬剤師になって見せる~医療職としての吟持を持って~

106回薬剤師国家試験に合格。次なるステージを見据えて自身の気持ちを前向きに考えて、薬剤師としての一歩を

実践問題からひも解く、本当に必要な事。

こんばんわ。

 

日々の寒さにおいて、恐怖を感じずにおれない今日この頃です。

 

今回の題名の通り、薬剤師国家試験の問題の中で、実践問題という臨床問題

について、考えてみないといけないことがあります。

 

それは、『薬剤師としての臨床感覚』です。

まだ、実際に現場に立って働いているわけではない薬学生(又は国浪生)に、

『君が薬剤師ならどうだい』という問いかけをしているということです。

 

ある問題です。

 

 30 歳女性。少し前から物が二重に見えることがあり、最近は階段を上るときに下肢のだるさを感じるようになった。また、夜は歯磨き程度でも腕が疲れるようになったため受診した。早期の重症筋無力症と診断され、以下の薬剤が処方された。 

(処方 1 )
ピリドスチグミン臭化物錠 60mg 1回 1 錠( 1日 3 錠)
1日 3回 朝昼夕食後  7日分
(処方 2 )
プレドニゾロン錠 5mg 1回 2 錠( 1日 2錠)
1日 1 回 朝食後  7日分
(処方 3 )
タクロリムスカプセル 1 mg 1 回 3カプセル( 1 日 3カプセル)
1 日 1回 夕食後  7日分

 この問題は、105回薬剤師国家試験の実践問題の物です。

 

よく見てみると、この女性はどういう症状がでているのでしょうか。

視覚異常や四肢の脱力などが見られます。この症状から考えないといけない

疾患はなんでしょうか。

 

考えないといけない疾患が頭に浮かんだとして、真っ先に、見ないとだめなのは、

ピリドスチグミンが出ていること。これはネオスチグミンと同類の

コリンエステラーゼ阻害薬です。この薬は、アセチルコリンの分解を抑えて、生き残った受容体に行きわたり易くするために、処方されているとみることができます。

 

この薬剤が出される疾患。もうあれしかないですね。

重症筋無力症』の可能性があるということです。

(今回は、診断名がはっきりとだされていますが、再出題された場合、書かれて

いない可能性に備えての記載です。)

 

その他に、タクロリムスが出されていることは、免疫機能を抑制させて、症状を

少しでも抑えようとしていることがうかがえます。抗アセチルコリン受容体抗体が

出来ているため、その抗体産生細胞を抑えるために、そもそも指令を出しているであろうヘルパーT細胞を抑制するためと考えることができます。←生物との繋がりが明確。

 

結論を言えば、この問題で考えないといけないのは、この患者さんがどういうことを

日常生活において気にしないといけないのか。どういう事に注意しないといけないのかという裏事情まで、見れるかどうかなんですよね。

服薬指導をするとしたら、感染しやすくなるために、予防に力を入れる事。

今の時期であれば、ワクチンの接種を励行すること。

(ただし、問題にも出題されている生ワクチンは逆に感染リスクがあるため、

接種はNG)←衛生の範囲との繋がりが意識できますね。

といったことを予め説明しておかないといけないということ。

 

ここまで見て考えて欲しいのは、単なる問題に出てくる患者ではなく、

実際に自分の目の前に来られた患者さんに対して、本当に必要な指導が

貴方にできますか?ということを聞かれているということを理解することが

必要であると、作成者から問われているんだとわかるか否です。

 

自分が薬剤師ならどうだろう』こういう認識が持てることが

今後必要になってくるし、実際に実践問題の成績を上げるためには、

必要なことなのかもしれないと思います。

 

科目ごとの意識ももちろんですが、正しい知識をしっかり身に着けて、

現場に向かうことが出来るようにしていきたいものです。

 

問題における薬剤選択ができるだけではなく、その患者さんの症状を

無くすことができるのか…といったことまで、目を向けることが必要であると

感じます。