災害医療と食中毒。
こんばんわ。
今日の総復習講座で災害医療を題材にした問題がありました。
そこで、今回は題名を『災害医療と食中毒』ということで考えてみたいと
思います。
なぜ、災害医療で食中毒?ってなった方も居られると思います。
そう思った方は、もしかしたらこう思われたのではないでしょうか。
食中毒って起こるものなの?それって平時でよく起こらない?
そう思った方…。残念。
実際に、食中毒は災害医療では一番に考えないとだめなんです。
なぜかというと、特に被災地にある避難場所の衛生環境の状態が
一番汚染されやすい状況になるからです。
多くの人が一緒に暮らしているわけです。体が強い、健康体の方や
高齢の方。いろいろおられます。とはいえ、慣れない環境が基で
体を弱めてしまい、体調を崩された方が出たらどうでしょうか。
密閉された閉鎖空間で一瞬にして、感染が拡大してしまう可能性が
あるんです。だからこそ、食中毒を起こさないという強い気持ちが
必要なんです。
ではどういう食中毒が起こることが言えるのでしょうか。
地震において水道管の断裂で水が出ない、洪水で下水が逆流した…
あげればキリがないですが、実際にこういうシチュエーションが
起こることがあります。
そうなったときに、一番怖いのは下水の逆流による感染により起こる
細菌感染による食中毒でしょう。特に問題になるだろうと思うのは、
経口感染です。
家屋が水に浸かった経験のある方ならわかると思いますが、
水が引いてから、徹底的な消毒が必要になります。
これは、洪水がただの水であるとは限らないためです。洪水とはいえ、
下水の逆流もそこに含まれている可能性も否定できないからです。
そのため、完全に水が抜ききった後に、しっかり、消毒することが
重要になりますが、その時に使うものに、ベンザルコニウム塩化物が
あります。これは、低水準に位置しており、消毒薬としては弱いです。
ただ、高水準の消毒薬が家屋では使いにくい、ハロゲン系消毒薬も、
ヨウ素系では家具や他のところに着色する恐れがあるため、使われて
居ません。
こういうことを聞くと、しっかり、消毒できないのではと不安を
感じられるかもしれませんが、家屋の消毒をするぐらいであれば、
十分なレベルであるで消毒できます。
しかしながら、直に口に入る物に接触する食器などの消毒だけは、しっかり
したいですね。食中毒もこういうところから原因になることもあるので、
こういう部分においては、次亜塩素酸ナトリウムを使用することが
効果的みたいです。
(ノロウイルス対策も考えないといけない時期ですから、余計書きたいので。
特に、エンベロープという脂質の膜を持たないので、エタノール消毒が無効。)
こういう風に書いてみて思うのが、食中毒は平時でも有事でも起こりうる
普遍的なものであるということと同時に、自分たちの感染症対策にも
通じるものがあるということが明らかであるということです。
現場に出ればいろいろな消毒薬を目にしていきますが、それらを適切に使用する
こと、感染制御のためにどういう使い方をすればいいのかなど、医療関係者だけでは
なく、一般の方にも広く理解してもらえるように、していけるそんな薬剤師が
求めらえているように思います。